今さら恋なんて…
「う、ううん…だ、大丈夫…」
あたしは赤くなる頬を隠せずに、そっぽを向いてそう言った。
「…顔、赤いですよ?」
「だ、誰のせいだと…」
「すみません」
「顔が謝ってない」
「許してください」
「……うん」
きゅっ、と手を強く握られ、あたしは思わず頷いた。
あぁ…あたしってなんてチョロい女…。
「よかった。…じゃぁ、ご飯行きましょうか」
「ん」
「司さん、照れると“ん”しか言わなくなりますよね」
「!…誰のせいだと…」
「俺のせいですか?」
龍哉はくすくす笑いながら歩き出す。
龍哉に手を引かれ、自動的に歩き出したあたしは、
「そうよっ。悪かったわね。分かりやすい女で」
って龍哉に向かって喚いた。