今さら恋なんて…
「何よ。“明日仕事なのに、どれだけ飲む気だよ”とか思ってんの?」
「……はい」
龍哉は冗談半分にそう笑う。
「……いいよ。別に“付き合え”とは言ってないから」
「え?1人で飲むんですか?」
「もう飲みたくないなら龍哉は帰ればいいよ」
あたしは煌々と明かりの付くコンビニの中に入って行く。
「っしゃいませー」
ハリのない声に迎えられて、あたしはずかずかと冷蔵庫に向かった。
「はい。カゴ。飲みたいのあったら入れて?」
あたしは冷蔵庫の中を物色しながら、龍哉にカゴを渡す。
「……」
龍哉は面食らった様に固まっていたが、カゴを受け取ると、冷蔵庫に陳列されていたビールを手に取った。
「…司さんの家にはビールありませんよね…」
なんて呟きながら…。
「うん、ないね。…まぁ、明日のために今日は控えめにしよっか」
あたしはそう呟きながら、ハーフボトルのスパークリングワインをカゴに入れた…。