今さら恋なんて…



「何よ。“明日仕事なのに、どれだけ飲む気だよ”とか思ってんの?」


「……はい」

龍哉は冗談半分にそう笑う。


「……いいよ。別に“付き合え”とは言ってないから」


「え?1人で飲むんですか?」


「もう飲みたくないなら龍哉は帰ればいいよ」

あたしは煌々と明かりの付くコンビニの中に入って行く。


「っしゃいませー」

ハリのない声に迎えられて、あたしはずかずかと冷蔵庫に向かった。


「はい。カゴ。飲みたいのあったら入れて?」

あたしは冷蔵庫の中を物色しながら、龍哉にカゴを渡す。


「……」

龍哉は面食らった様に固まっていたが、カゴを受け取ると、冷蔵庫に陳列されていたビールを手に取った。


「…司さんの家にはビールありませんよね…」

なんて呟きながら…。


「うん、ないね。…まぁ、明日のために今日は控えめにしよっか」

あたしはそう呟きながら、ハーフボトルのスパークリングワインをカゴに入れた…。



< 405 / 479 >

この作品をシェア

pagetop