今さら恋なんて…
ここで働いてる龍哉でさえびっくりするほどの人、ってどんだけ来たんだ…?
すごいなぁ…。
「やっぱり昼間にしておいて正解でしたね。夕方からはきっともっと混みますよ」
「そうだよね。仕事帰りに来る人も多いだろうしねぇ…」
「はい。じゃぁ、行きましょうか」
龍哉はいつもの様にあたしの背中に手を添えると、歩き出した。
「……」
ピリッ、とした視線を感じてそちらを見ると、やっぱり…あのフロントの女の子があたしを見つめていた…。
「……」
怖…。
…でも、ホントに龍哉のこと、好きなんだね…。
「どうかしましたか?」
龍哉はロビーの真ん中でそうあたしに訊く。
「あ。ううん。何でもない」
とっさにそう言ってしまった。
“また見られてた”なんて言って…龍哉とあの子の関係が悪くなっても嫌だし…。
同じ職場なんだから…仲良くしないと…だよね?