今さら恋なんて…



“可愛い”なんて言われてまた固まってしまったあたしの唇にもう1つ食む様なキスを落とした龍哉は、あたしの頬を撫でながら、

「びっくりさせてしまってすみません…。涙、止まりました?」

って、キャラメル色の瞳を細めながら訊いた。


「……止まった」

まだ呆然としながらも、あたしは呟いた。


突然のキスに気を取られて、すっかり涙は止まっていた…。


「立っていられますか?ティッシュ取ってきます」

龍哉はあたしにそう訊いた後、その場を離れ、ティッシュの箱を持って帰ってきた。


「ここは新郎控え室なんです。今日は使われてないのを知っていたので…勝手に入ってしまいました」

頬に残ったあたしの涙をティッシュで優しく吸い取りながら、龍哉はそう説明してくれた。


その仕草が優しすぎて…キュッと縮む胸が、痛い…。



< 433 / 479 >

この作品をシェア

pagetop