今さら恋なんて…
「司さん」
「…え?」
龍哉に呼ばれて、慌てて顔を上げると、龍哉はそっとあたしの背中に触れた。
横に並んで座る席だから…何だか…龍哉が近いよ。
「…この前のこと…怒ってるんですか?」
龍哉の眉が見たこともない角度に下がって、小さな声が降ってきた。
「……」
あたしは弾かれた様に首を横に振る。
あたしが怒る理由なんて…何もない。
「…じゃぁ、どうして…今日…いつもと様子が違うんですか?」
「……」
「何か…あったんですか?」
そう訊いた龍哉の手があたしの腰に回って、あたしの体はその腕にすっぽりと収まった…。
「…嫌なら…振り解いてください」
龍哉じゃないみたいな弱々しい声。
…あたしのせい?
こんな龍哉の声、聞いたことないよ…。