今さら恋なんて…
「……俺、てっきり嫌われたのかと…」
「……」
「メール無視されて…そのままフェードアウトされるのかと…」
「……」
「そうじゃなくてよかったですけど…何、1人で悩んでるんですか?」
「……ごめ…」
「俺が、信じられませんか?」
そう訊かれて、あたしは何度も、何度も首を横に振った。
「…はっきりしなかった俺も悪いですけど…勝手に俺の気持ち、疑ったり、決めつけないでください」
「……ごめん」
「俺は…誰かに、何かを言われて…揺れる様な気持ちじゃないんです」
「……」
もう何も言葉が浮かばなくて…あたしは後悔に押し潰されて黙ってしまった。
「司さんが思い出したくない様な辛い経験をしてたから…だから、誰ももう失いたくない、って言うなら分かりますよ?…でも…心変わりを疑われるなんて…」
龍哉はそう呟くと、ビールを一気に煽った。