今さら恋なんて…



「お待たせ致しました」

その声と共に、目の前に湯気が立ち上るコーヒーが置かれた。


「あ。ありがとうございます」

コーヒーを持ってきてくれたのはウェイトレスの子だった。


チョコレート色の長い髪を綺麗にまとめた小さな女の子。


名札には“waitress 蜂谷(ハチヤ)”と書かれてある。


「いえ…」


「可愛いねー。高校生?」

頭を下げ、立ち去ろうとしたウェイトレスの子を捕まえたあたしは、興味津々でそう訊いた。


「あ…この春に高校卒業して…ここに就職しました…」

可愛い声でそう言った彼女は、恥ずかしそうに頬を染めた。


あー、可愛いなー。

初々しくて…。


「そっかー。仕事楽しい?」

あたしは頬杖をつきながらそう訊く。




< 52 / 479 >

この作品をシェア

pagetop