今さら恋なんて…
「あ。お疲れ様ですー」
冷蔵庫を覗き込んでいた真未が呟く。
「サナ。何やってんの?」
「チョコがなくなってる、と思って…」
「名前書いてあったのか?」
あたしはお茶を飲みながら訊く。
「…ないです」
「…じゃぁ、片付けられたんだな。誰かの胃の中に」
「がーん」
肩を落とす真未。
休憩なんて短い時間しか取れないから、みんな色んなものを持ち寄って自由に食べているから…気が付いたらなくなってる、なんて日常だ。
「ほら。これ食べな」
あたしはあたし専用のカゴに入れてあるチョコレートを手渡す。
さすがにあたしのものはみんな盗らないし、お客様からもらうものも多いから、減るどころか貯まる一方だ。