クールな彼と放課後の恋
「いただきまーす♪」

「頂きます」


箸をきれいに持って手を合わせる稲瀬。



「兄ちゃん!米が立ってる!びちゃびちゃじゃないよ!」

「…マジか」


お茶碗のご飯をみて、
また感動する稲瀬兄弟。




「は、早く食べなよ…」

「フフ」


私と日向はこんなふうにみんなでご飯を食べることはほぼ初めてだった。

それに、作った料理をほめられるのはすごく新鮮なことだった。





「うめー!兄ちゃん!これこの前の定食屋で食ったやつよりうめー!」


唐揚げを食べて、
修君がそう言って叫んだ。



修君は思ったことを素直に口に出すタイプなんだな…

それに比べて稲瀬は…



「・・・・・」


黙々と私のご飯を食べている。

箸のスピードがかなり早い…



美味しいって思ってくれてるってことかな…

修君と違って、稲瀬は口数が少ないからわかりづらいよ…


だけど稲瀬兄弟はおかずを全て食べてくれた。

少し炊き過ぎたと思ったご飯も、きれいさっぱりなくなった。






「次右!」

「あ!ボスが〜」


夕食後

片付けを終え私たちはマッタリモード。


日向と修君はリビングでゲーム。

私と稲瀬は…



「・・・・・」

「・・・・・」


リビングのソファーに座って、
日向と修君がやってるゲームを見ている。



隣のおばちゃんから貰った苺をデザートに出し、それをつまむことしかしてない。

稲瀬に話しかける勇気がないんだ…




「あ…ジュースお代わりいる?」


日向と修君のグラスのジュースが、
空っぽになっているのに気づいた。




「あ、もらうー」

「お願いしまーす」


私は立ち上がり、
稲瀬の前を通ってキッチンへ向かった。

そして冷蔵庫からペットボトルのジュースを出す。



稲瀬と私…

全く盛り上がらないのは何故?


委員会やってる時は結構話せるのに…

なんで一歩外に出るとこうなの?




「あ、電話かかってきたからちょっと外行ってきまーす」




ゲームをやる手を止め、
修君がスマホを持って家を出て行った。




「私ちょっとトイレー」


日和はトイレへ行った。




え、急に稲瀬と二人きり……

どうしよ…


グラスにジュースを注ぐ手がブルブルと震えてしまう。
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