クールな彼と放課後の恋
そんなわけない。

稲瀬と私は…委員会が同じなだけだよ。









翌日


ふあ…眠い。

昨日あんまり眠れなかったな…


日和が変なこと言うからだよ。


学校のある最寄り駅に着き、電車を降りた。




「…よう」

「わーーーーーっっつつ!」


改札に向かって歩いていると、突然耳元で誰かにささやかれた。




「…朝から元気だな」

「稲瀬…同じ電車だったんだ…」


振り返ると、稲瀬が私を見下ろしていた。




「び、びっくりした~(汗)脅かさないでよねっ」

「脅かすつもりはなかったけど」


そう言って、稲瀬は私を通り越して歩いて行った。



なんだ…普通にしてる。

昨日…あんなことがあったし、日和にも変なこと言われたから……



『結構傷ついたんだけど』


また…昨日稲瀬に言われたことを思い出し、恥ずかしくなってしまう私。





「早くこいよ」


っ!


数メートル先で、稲瀬がこっちを振り向き、私を呼んだ。



一緒に…行くってこと?

一瞬目をそらしたが、私は小走りで稲瀬に近づいた。


そして、一緒に学校に向かった。








「昨日はごちそさま」




学校が見えてきた時、稲瀬が歩きながらそう言った。



「そ、そんな…たいしたこと…」

「修もお前によろしくだって」

「そう…」


まあ、喜んでくれたのはよかったけど。




「あとこれもサンキュ」

「あ…」


稲瀬は昨日私があげた、小さいレシピノートをポケットから出した。




「…持ってきたの?」

「電車で見てた」

「作れそうなのあった?」


一応、初心者でも作れそうな、簡単なレシピを選んだつもりなんだけど…
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