ゆとり社長を教育せよ。


――数日後。

充の考案した新商品(ずいぶん霧生くんにも協力してもらったようだけど)を、役員たちにプレゼンする会議が開かれた。


その間、私たち秘書は秘書室で待機。

あれから凜々子さんとはぎくしゃくとした関係のまま、けれど私も彼女も一応仕事だけはきっちりとこなしている。

亜紀ちゃんは私と凜々子さんをいつもはらはらした様子で見ていて、何も知らない佐和子さん一人がいてくれるからこそ、かろうじてこの部屋の秩序が保たれてるっていう感じだ。


そんな微妙な空気が流れていた秘書室が、ある瞬間急にさわがしくなった。

秘書ひとりひとりのデスクに割り当てられている四つの電話のうち、二つが同時に音を立てたのだ。

それは、私と凜々子さんのデスクのもので。


「はい、秘書課高梨です」

「はい、秘書課野原です」


ほぼ同時に受話器を取った私たち。

ちらりとお互いを一瞥して、電話の向こうに意識を集中させる。

すると聞こえてきたのは――。



『美也! やった! 俺、ガーナ行かなくてよくなったよ!』



ちょっと、会社の内線で美也とか呼ぶんじゃないわよ!――って。


今、充はなんて……?

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