ゆとり社長を教育せよ。
「高梨の思ったこと、正直に言ってほしい」
霧生くんにそう言われてうなずいた私は、パッケージの中からチョコを一枚取り出す。
白くて四角い石畳のようなホワイトチョコレートに、つぶつぶと鮮やかな模様を描く苺。
こうして実物を見ても普通に美味しそうだから、私が食べたところで何も変わらないと思うんだけど……
開発部の人たちの視線に緊張しつつ、私はぱくりと半分くらい齧ってみた。
うん、やっぱり、美味しい……けど。
あれ? 思ったよりも、甘くないような――――
感じたことを素直に言ってもいいのか迷いながら、でも霧生くんがそれを望んでいるんだしと、私は言葉を選んで話し出す。
「……苺の割合が、ちょっと多い気がしました。好みだとも思うんですけど、私だったら、もっとホワイトチョコの甘さとか濃厚さを期待しちゃうなって……
美味しいことには変わりないんですけどね」
――しばらくの間、沈黙が流れた。
開発部の人たちだって、きっと何度も試作を重ねてこの割合にたどり着いたはず。
いきなり素人の私にこんなダメ出しみたいな発言されて、気を悪くしたんじゃ……と、私にしては珍しく弱気になっていた時だった。
「やっぱり、そうか。ありがとう、高梨」
さっきまで硬い表情だった霧生くんがそう言って微笑み、彼の隣に座る女性社員に頭を下げた。
「最終的にこっちの配合に決めたとき、きみは最後まで反対してたよな。女性はチョコ感の強い方に魅力を感じるって。開発部の中では少数意見だったけど、ずっと引っかかってたんだ、これでいいのかって。
この商品のターゲットはきみや高梨みたいな20~30代の女性だし、もう一度検討する必要がありそうだ」