ゆとり社長を教育せよ。
でも……生憎今の私には、ゆっくりご飯を食べている暇がない。
午後二時からのイベントに備えて、社長といろいろ確認しておきたいし、会場にも早く入りたいし……
「ごめん、今日は午後から忙しくて……また次の機会に是非! でも、久々に霧生くんと話せてよかった」
「え、まさかここの片づけ手伝ったせいでメシ食う時間がないとかじゃないよな?」
「あ……ええと、うん」
時計を見て苦笑する私を、霧生くんは大きな手で軽く小突く。
「そうならそうと早く言えよ。ここはもういいから、さっさと腹ごしらえしてきな」
「ありがとう。あ、頑張ってね、苺チョコの件」
「サンキュ。高梨もな」
会議室の扉を出ると、そこに背中を預けて私は一旦深呼吸した。
なんか……妙に緊張しちゃった。霧生くんに叩かれたトコ、ちりちり熱いし。
それはやっぱり“あの時”のことが原因だと思うから、いつか一緒に飲みにでも行って、改めて笑い話にする必要がありそう……。
「ほんと、若気の至りってやつよね……」
ぽつりと呟いた私は、簡単に済ませられる昼食を得るために、コンビニの入っているビルの一階を目指して歩き出した。