ゆとり社長を教育せよ。
『……でも、社長と秘書がこんなカンケイになるのって、まずいんじゃ……』
あらまぁ。この二人は社長と秘書なのね。
別に仕事さえしっかりやれば、私はまずくないと思うけどな。
『そんなの気にするな。俺はあなたが好きなんです――高梨さん』
……な、なんで私の名前? ていうか、いつの間にか男の方の俳優が社長みたいな顔になってるけど……
『社長……』
あ……やっとキスするみたい。でも待って。相手の女の子……もしかして、私?
なんで私が社長とキスを……!
「ストップーー!!」
はっとして目を開くと、そこは見慣れた自分の部屋。
私、もしかして寝ちゃってた……?
点けっぱなしのテレビに目を向けると、ドラマは終わってしまったらしく胡散臭い通販番組に変わっていた。
「……変な夢見ちゃった」
ベッドの上のクッションをひとつ抱き締めて、そこに顔を埋めた。
あんな夢を見たの、きっと、社長の告白のせいだ。
それにしても、妙に生々しくてドキドキしちゃったじゃない。
ドキドキ……?
「してないしてない!」
そう叫ぶように言うと、持っていたクッションをばふん、と壁に打ち付けた私。
夢ごときで何取り乱してんだろ……ばかみたい。
こんなんじゃ、デートのときも変に意識しちゃうかも……
私はいつもより明らかに速いスピードで鳴る心臓をなんとかなだめながら、固く目を閉じて無理矢理に眠った。