私んちの婚約者
愁也は私の頭をポンポンして笑う。
「これ、なんかペット扱いではないですか……っ」
「ああ、小動物みたいだもんな」
くうぅ……。なんだか複雑だ!!
けれど彼は極甘全開の笑顔をするから、なんだか怒れなくなって。
ついついされるがままナデナデ。うん、もういいや小動物でも。
愁也は大人しくなった私を覗き込む。
「……ほんとに可愛いな。頼むからまた他の男に口説かれんなよ」
いやいや、いくら何でも。
「あるわけないじゃん、そんなこと」
軽く流した私は、この時の愁也の心配なんて、全く意識をしてなかった――。
*
その夜は父の会社のイタリア支社立ち上げチームの親睦会とのことで、会社近くのレストランでささやかなパーティーが催された。
「梓~会いたかったよ~」
「父うざい」
両手を広げて近寄って来た父に一撃。そういえば誘拐騒ぎ以来だな。解決した後にさらっと愁也から事情説明はしてもらったけれど、すっかり忘れてた。
「酷いよ、梓ちゃあん」
「ダディうざい」
「今ダディって呼んでくれた!?」
久しぶりの父はほったらかして、さっさと私は料理を物色し始める。
父と愁也はもちろんスタッフをねぎらったり挨拶したり、忙しく動き回っていて。
私は愁也がそばにいないのをいいことに、料理を食べまくることにする。
「あー美味しいっ」
ニコニコな私に、隣に居た金髪の男性が話しかけてきた。
「Piacere」
ピアチェーレ、って……確か『はじめまして』だよね。
「Piacere mio(こちらこそはじめまして)」
とりあえず返事をして、私は食事再開。
男性がまた何かを早口で言った。
けど私には聞き取れない。
「これ、なんかペット扱いではないですか……っ」
「ああ、小動物みたいだもんな」
くうぅ……。なんだか複雑だ!!
けれど彼は極甘全開の笑顔をするから、なんだか怒れなくなって。
ついついされるがままナデナデ。うん、もういいや小動物でも。
愁也は大人しくなった私を覗き込む。
「……ほんとに可愛いな。頼むからまた他の男に口説かれんなよ」
いやいや、いくら何でも。
「あるわけないじゃん、そんなこと」
軽く流した私は、この時の愁也の心配なんて、全く意識をしてなかった――。
*
その夜は父の会社のイタリア支社立ち上げチームの親睦会とのことで、会社近くのレストランでささやかなパーティーが催された。
「梓~会いたかったよ~」
「父うざい」
両手を広げて近寄って来た父に一撃。そういえば誘拐騒ぎ以来だな。解決した後にさらっと愁也から事情説明はしてもらったけれど、すっかり忘れてた。
「酷いよ、梓ちゃあん」
「ダディうざい」
「今ダディって呼んでくれた!?」
久しぶりの父はほったらかして、さっさと私は料理を物色し始める。
父と愁也はもちろんスタッフをねぎらったり挨拶したり、忙しく動き回っていて。
私は愁也がそばにいないのをいいことに、料理を食べまくることにする。
「あー美味しいっ」
ニコニコな私に、隣に居た金髪の男性が話しかけてきた。
「Piacere」
ピアチェーレ、って……確か『はじめまして』だよね。
「Piacere mio(こちらこそはじめまして)」
とりあえず返事をして、私は食事再開。
男性がまた何かを早口で言った。
けど私には聞き取れない。