私んちの婚約者
side透也
次の日、出勤した俺が見つけたのは、デスクで潰れている教授だった。
「……職場で酒呑むの、止めて下さいよ」
仕方ない人だ。
教授は恨めしげに俺を見上げた。
「今その顔見たくねー。畜生、あんな隙のない男にかっさらわれるのってどうよ」
……あ、昨日梓に手を出そうとして返り討ちにあったんだっけ。
同じ前科のある俺には、イマイチこの人が憎めない。
「あいつらの間には、入り込めませんよ。おとなしく諦めたらいかがですか」
「うるせぇよ。あー高宮相変わらず可愛かったなあ。あいつどーして色気ないくせにそそるんだろな」
教育者とは思えないセリフ。
ついでに言えば30歳代後半の大人とは思えないセリフ。
とはいえ見た目と精神年齢はかなり若い。
……研究者としては異例の若さで大出世した凄い人なんだけどなあ。
「あの旦那に殺されますよ」
冗談ではなく、忠告してやる。
教授は窓の外を見て、つまらなそうに言った。
「俺なんて正直者だし、素直に態度に出しててカワイイもんよ?
本当に要警戒なのは、あいつらみたいなのだろ」
ん?
教授が顎で指し示した方を見れば、外に溜まっているのは6、7人の男子学生のグループ。
派手なのも地味なのも居て、はっきり言ってアンバランス。
「何の団体ですか?」
サークルにしちゃ、趣味が合わなさそうだ。
教授がニヤリと笑った。
「高宮梓のファンクラブ」
……は?
「ほ、本当に?」
「あいつ人妻になって妙に雰囲気あるからな。もともと気になってた奴らが、昨日久しぶりに高宮を見て、イッちゃったって感じ?」
呑気に言う教授に、俺は少し不安になる。
「大丈夫かな、梓」
次の日、出勤した俺が見つけたのは、デスクで潰れている教授だった。
「……職場で酒呑むの、止めて下さいよ」
仕方ない人だ。
教授は恨めしげに俺を見上げた。
「今その顔見たくねー。畜生、あんな隙のない男にかっさらわれるのってどうよ」
……あ、昨日梓に手を出そうとして返り討ちにあったんだっけ。
同じ前科のある俺には、イマイチこの人が憎めない。
「あいつらの間には、入り込めませんよ。おとなしく諦めたらいかがですか」
「うるせぇよ。あー高宮相変わらず可愛かったなあ。あいつどーして色気ないくせにそそるんだろな」
教育者とは思えないセリフ。
ついでに言えば30歳代後半の大人とは思えないセリフ。
とはいえ見た目と精神年齢はかなり若い。
……研究者としては異例の若さで大出世した凄い人なんだけどなあ。
「あの旦那に殺されますよ」
冗談ではなく、忠告してやる。
教授は窓の外を見て、つまらなそうに言った。
「俺なんて正直者だし、素直に態度に出しててカワイイもんよ?
本当に要警戒なのは、あいつらみたいなのだろ」
ん?
教授が顎で指し示した方を見れば、外に溜まっているのは6、7人の男子学生のグループ。
派手なのも地味なのも居て、はっきり言ってアンバランス。
「何の団体ですか?」
サークルにしちゃ、趣味が合わなさそうだ。
教授がニヤリと笑った。
「高宮梓のファンクラブ」
……は?
「ほ、本当に?」
「あいつ人妻になって妙に雰囲気あるからな。もともと気になってた奴らが、昨日久しぶりに高宮を見て、イッちゃったって感じ?」
呑気に言う教授に、俺は少し不安になる。
「大丈夫かな、梓」