冬美の初恋
「…………」

「雨、ごめんね」

「……一旦、離して」

雨の言うとうり、雨の首に巻かれた腕を解いた。

離した体の間を風が通り抜け、汗をかいた体にはそれが冷たく感じた。

雨は歩道に戻っていった。


誰か、呼ぶのかな。

雨は、その場で靴と靴下を脱いで、ズボンを膝まで捲り上げた。


まさか………!



「…………」

裸足になった雨は、すべらないように泥沼へ降り立った。

「最初からこーすりゃよかった」

そして、私の前でしゃがみこんで、両手を泥沼につっこんだ。


どうやら、手探りで私の足を探して、つっかかりをとるらしい。


「………ごめん」

「いいよ」

私は、雨の旋毛に向かって謝った。

雨は下を向いて泥沼を探っている。


「肩、捕まっていい」

今の私の不安定な体制を見て、気にかけてくれた。

「ありがとう」

私は、そっと雨の肩に手を置いた。


「さっき………いきなり呼ばれたけど」

「あ………ごめん、大声で呼んじゃって、恥ずかしかったよね」

よく考えたら、あんなとこから大声で呼ばれて、恥ずかしいに決まってる。

今の姿も恥ずかしいけど。

「…何だった?」
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