愛されオーラに包まれて
『でも結婚って、可南子さんのご両親は?』
『3ヶ月前くらいにようやく折れてくれた。5年かかったけど』

可南子さんの代わりにお父さんが答えた。

『5年?』「5年?」

俺達はその長さに驚いて、同時に声を出してしまった。

『だからあとは、遥香の気持ちだけなんだ』
『私達は、遥香ちゃんに少しでも嫌悪の気持ちがあるのなら、この話はやめようと思っているんです。いくらうちの両親が折れてくれても』

すると、遥香はにこやかに、可南子さんを見た。

『可南子さん、うちの父を、どうかよろしくお願いします』

と、頭を下げた。

そして頭を起こすと、

『以前の私なら、多分反対していたかも知れません。あのスクープ記事で、私は学校でイヤな思いもしましたので。でも、今の私には分かるんです。可南子さんの気持ちが』
『私の気持ちですか?』

『はい。私は良くも悪くも、父にベッタリする娘ではありませんでしたし、今もそれは変わりません。でも、全然、嫌いじゃないんです。どんなことがあっても、父を嫌いになるという選択肢は私にはありませんでした。なぜなら・・・父は、母を思う気持ちは、とても深いものだと分かっていたから。お母さんが死んでしばらく、私の見えないところで毎日泣いていたのを、知っているから』

そして遥香は、俺を見た。
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