愛されオーラに包まれて
「午後からなら用事がありますけど」
『このまま、ここに泊っていきなさい』
『え?』

お父さんの提案に反応したのが遥香。

『お父さんって、お酒飲む人だったっけ?』

遥香も知らない父のこと。

『普段は職業柄、あまり飲まない。でも今日は正月だし、遥香の彼氏と一度飲んでみたかったからさ』
『でもお父さん、大丈夫?泰河、ものすごーく強いから、張り合わないでね』
「そうでもないよ」
『でも泰河が酔った姿、見たことない』

確かに、遥香の前では醜態をさらしたことないけど、俺は決して"ザル"ではない。

遥香に告白したゴールドヘブンリーホテルでのことだって、アルコールの力を借りていた。
でも、お父さんの提案は、正直嬉しい。

遥香にまた一歩、近づいたような気がするから。

「お言葉に甘えて、お付き合いします」

すると、座っていた可南子さんが立ち上がった。

『お向かいのキヨさんのお姉さんから頂いた地酒がありますので今出しますね』
「ありがとうございます」

可南子さんはすっかり・・・高松家に溶け込んでいるんだ。

俺も、いつかそうなれればいいな。

心からそう思った。
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