愛されオーラに包まれて
この部屋はワンルーム。
だからダイニングとかソファーなんてものはないので、床に座ってテーブルにご飯を置いて食べるスタイル。

なんだけど…

『そんな、ヒガむなよ』

と、座った私の背中から抱き締めた泰河。

そのまま座っちゃった。

「ちょっと、ご飯食べなよ」
『このまま食べるよ』
「私が邪魔でしょ」
『大丈夫』

と、私の頭の横でご飯を食べる。

「もう、私が気になっちゃうでしょ」
『そうだよね、ごめん』

意外と素直に離れた。

食べ終えると一緒にお皿を洗って、またさっちの抱き付かれるスタイル。
泰河は後ろのベッドに寄りかかっている。

『遥香、上手かったよ』
「大した料理作れてないよ」
『違うよ、ご飯もいいけど、今はテニスの話』

私、そんなに上手くないよ。
最後バテたし。

「泰河ほどじゃないよ」
『俺、これでも高校総体出てるんだけど』
「え、そうなの?」
『2回戦負けだけどね』

へぇ。
道理で上手いわけだ。

『遥香も大会出たんだろ?』
「うん。県大会準決勝負け。しかもダブルス」
『ベスト4か。なかなかやるじゃん。それにしては、体の線が細いよな』

泰河はそう言うと私の腰に両手を添えた。

「何か、その腰の添え方、イヤらしい」

ちょっと、スウェットの上からでも腰骨のあたりがくすぐったいし。

『男はみんな、そうだよ』

手の位置が私のおへその辺りに移った。
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