愛されオーラに包まれて
「旅行じゃないぞ。ここでは上司と部下の関係は崩すなよ」

と玲奈には釘を差した。

玲奈がここにいる理由づけはどうしよう。
と、考えていたら、玲奈は俺以外の人たちに、

『私は遥香ちゃんの保護者だから、遥香ちゃんが泣いちゃわないように、監視しに来たの。フフフ』

無邪気に笑う玲奈。

まぁ、コイツは人の心を必ず読む。
悪い展開にはしないはずだ。

車の後部座席に桐生と高松。
真ん中には玲奈と神戸さん。
花村には助手席に乗ってもらった。

群馬県は営業で良く来ているらしいし、細かい道案内には丁度いい。

東京から2時間ほど。
目的地である群馬第一高校に到着した。

事前に許可を取って、校舎内に入る。

「神戸さん、3年E組の教室の場所に案内して」
『え?あ、はい』

土曜日の午後。
外で部活動に励む生徒たちはいるものの、教室には誰もいない。

「神戸さん、自分が座っていた席について」

指示通りに着席したのは、6列ある机の、廊下側から3列目の前から3番目。

「残りの人たちは、好きな席について」

俺の指示に、残りの4人は神戸さんとつかず離れずの場所に座る。
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