愛されオーラに包まれて
『テニスコート、ですか?』

花村が聞く。

「そう。今からテニスしま~す。プレーヤーは高松と神戸さん。シングルで勝負しましょう。ふたりとも、お願いしていたから用意はしているよね」

『はい』『はい』

外へ出て、テニスコートに向かう。
典型的な公立高校であるここにあるのは、やはり典型的なクレーコートが2面。

そのうちの1面を使わせてもらうことにした。

「桐生、お前審判やれ」
『分かりました』

シングルでの対決。軍配は高松に上がった。

コートの横でふたりの姿を見ていた玲奈が、

『あ~あ、私もあんな風にテニス出来るようにならないかなぁ』
『出来ないの?』

花村が聞く。

『だって、私が打ち返すボール、全部ホームランになっちゃうんだもん。もう運動音痴コンプレックスぅ~』

そんな風にボヤく玲奈がとても可愛いと思ってしまう俺。
だから玲奈、俺は運動音痴コンプレックスは、悪くないと思うぞ。

花村さえいなければ、耳打ちでもして教えてあげたいところだ。

『あ~、負けたぁ~』

着替えが終わって、俺のミニバンに戻ってきた神戸さんが言う。

さっき、高校に着いた時より、吹っきれた表情をしている。
< 208 / 345 >

この作品をシェア

pagetop