愛されオーラに包まれて
オムライスを食べ終えて、水をゴクゴク飲んでいる私。
そんな中、

『あのさ、次のテニスなんだけど、ダブルスでやらない?』
「ダブルス?」
『桐生さんを誘って』

泰河?
でも片側だけダブルスじゃ、勝負できないじゃん。

「あ、泰河対私達?」

コップを置いて私は言う。
泰河をふたりで攻めるのも、ありだね。

『そうじゃなくて…、私の、彼』
「は?」

私は驚いて、口が開いままになっているよ、多分。

『友達とナイターテニスをやっている話をしたら、僕もやりたいって』
「いやいや、その前に、由依に彼氏がいたことも、私、知らなかった」
『ごめん、恥ずかしくて…』

由依の顔がみるみる赤くなっていく。

「いつから?」
『付き合い始めたのは4ヶ月くらい前』
「出会ってからは?」
『2年弱かな…』

驚いた。
由依からは一切、男性の影は見えなかったのに。

「その付き合うまでの期間は、友達だったわけ?」
『友達?うーん、知り合い?…とにかくずっと求愛され続けてた』
「1年半以上もコクられ続けていたってこと?」

由依はゆっくり頷いた。

「そんなに言われ続けたのに、由依は靡かなかったんだ」
『いや、そうじゃなくて・・・ずっと保留にしていたっていうか・・・』
「保留?」

1年半以上も保留のまま、会っていたってことか。
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