愛されオーラに包まれて
◎由依の彼氏~side HARUKA~
みなみちゃんのサイン会が終わった翌週の木曜日。

私は仕事を定時で終わらせ、いつものテニスコートに来た。

泰河は販売会社から直帰ということにして、早めに一旦家に帰って着替えて道具を持って再度出発するという、何ともズルいスケジュール。

"営業やっている人間の特権"とか言うけどね。

私が一番乗り。程なく由依が来た。

「あれ、彼は?」
『もうすぐ来ると思う』

珍しく、ソワソワしている由依。
やっぱり、彼氏の初披露は心穏やかではないよね。

そんな間に、泰河が到着。

ほぼ同時に、テニスコートに入ってきたのは、がっちりした体形の色黒の男性。

奥二重で短髪。
いかにも、"スポーツやっています"という感じの雰囲気。

時間5分前にネットの前に集合した。

『はじめまして』

由依の彼は笑顔で挨拶した。

「高松遥香です」
『桐生泰河です』
『僕は、成瀬川剛(ナルセガワ ゴウ)と申します』
『はい?』

泰河がビックリした。

「ナルセガワゴウさん、って、もしかして・・・」
『はい、兄がいつもお世話になっております』
「はぁ??」

泰河も私も驚愕だ。
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