愛されオーラに包まれて
剛さんって、局長の弟。
成瀬川家の三男。

そりゃ、由依が身分違いで保留にするのも納得だよ。

『とりあえず、時間ですから、打ち合いしませんか?』

あ、そうだ。どうやって知り合ったかは後で聞こう。

剛さんは上手かった。
でもそれ以上に泰河が上手かった。

途中、剛さん対泰河で試合形式をした。

僅差で泰河の勝利。

『上手いですね、桐生さん』
『いえいえ、剛さんこそ』

汗を拭きながら2人で健闘を称え合った。

ここのテニスコートは駅から至近なので、泰河も私も電車で来た。

剛さんは・・・車だった。

『さて、これからごはん食べに行きましょう。僕がご案内してよろしいですか?』
「はい」

剛さんが案内してくれたのは、屋敷みたいな料亭。

うわ、高そうじゃない??
しかも、テニスの後に畳に座るのは、正直キツい・・・と思ったら、椅子席だった。

良かったぁ。

車を運転する剛さん以外の人は、ビールを飲む。

料理は和食がメイン。

「剛さんは、ホテルにお勤めなんですか?」
『はい。成瀬川グループの中核企業のひとつである"ゴールドホテルグループ"の恥ずかしながら次期社長になるもので、今は修業中です』

やっぱり"華麗なる一族"はサラっと言うことも、レベルが違う。

「はぁ・・・」

私が少し引いてしまったのを察したのか、慌てた剛さん。
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