愛されオーラに包まれて
◎後輩ちゃんの正体~side HARUKA~
まだ少し残暑が残るものの、夜風が大分過ごしやすくなってきた9月中旬の金曜日。
清水さんの希望だと言うイタリアンレストランでの食事。

先に私と清水さんが到着し、残りの2人を待っていた。

「どうして、五部の羽賀部長じゃなくて、うちの日下部長が清水さんのために時間を作るのかな」
『遥香さんが私のことで日下部長に相談したからじゃないんですかぁ?』

相変わらずの甘ったるい声。

それでよく販売会社と部数交渉が出来るものだと逆に尊敬する。

「新入社員研修の時、私は清水さんとは離れていたけど、希望はどこの部署だったの?」
『分からないので、何も書いてませーん』
「はぁ?」

そんな調子で良くうちの会社に受かったもんだ。

倍率は200倍を超える。

『だってぇ、お父様にぃ、この会社に入れって言われたんですぅ』

ま、まさかのコネ入社?

「お父様って、誰よ」
『専務です』
「センム?」

あぁ、去年【きらきら】のバーコードの件で大騒ぎになった時、私が遠藤部長を会議室から引き摺り出すために乗り込んだ時にいらしたあの専務か。

『はい。私、営業なんて、できないのに、営業局に入れられて、泣きそうです。いえ、泣いてます』

清水さんはしょんぼり下を向いた。
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