愛されオーラに包まれて
「ムックは広告を入れられるし、発売日も設けられるけど、広告の有効性っていうものには限りがあるから長くは売れない。しかも作りがソフトカバーで弱いから、書店から返品があった時に綺麗にして在庫にする"改装"ができる確率が低い。コンビニにも入れる関係で部数もたくさん作らなければならないから、販売会社との部数交渉もその分大変だし、事前に発売日を設定しなければならない手間もある。書籍はその点、"改装"はしやすいし、広告もないから長く売れる」

『ですよね?だから書籍にしようと僕も思うんです』
「おい、ちゃんと見てるのかよ」

俺は再び企画書を手に持った。

「これを見ると、沢山宣伝しそうな感じだな。立花亜里沙のレギュラー番組3本での宣伝。スポットで出るテレビ番組での宣伝、ラジオのレギュラーや雑誌の連載も持っているし、パブリシティーの点でかなり恵まれている。それを考えると、ファンは発売日を目指して集中して購入するから部数をたくさん作ってそのファンの購買意欲をそそる宣伝の仕方をしないとならない」

『どういう、ことですか?』

「書籍だと、店頭に並ぶタイミングがバラバラで、返品のリスクを考えると部数も沢山作れない。長く売るならいいかもしれないが、ファンの多い立花亜里沙の写真集は、事前に発売日を伝えて宣伝して、一気に短期間で買わせる方式が妥当だということ。つまり俺はムックで推す」
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