愛されオーラに包まれて
『それに、局長は無理でしょ。あの人は御曹司とか何とか以前に"愛されオーラ"があるよ』
「愛されオーラ?」

玲奈さんはまた、不思議な日本語を使うから。

『猛烈に1人の女性から愛されてて、他の女はいりませーん、みたいなオーラ。バリアみたいな。そう言う人って、パートナー以外は女性を女性として見ないから』
「やっぱり、そうですか」

『だから、まずは桐生くんとの関係を普通に戻してさ。いいじゃん、エッチありきでも』
「ちょっと、玲奈さん、他人事だと思って」
『桐生くんは女性に対してマメだから、きっと大丈夫。ファイトだね』

最後は玲奈さん、やっぱり"ファイト"なんだね。

その時、玲奈さんの携帯が鳴った。

『あ、ちょっとごめんね』

と、このフロアから出て行ってしまった。

その姿を目で追っていた木村さんが、しみじみ話す。

『玲奈ちゃんは、彼女が高校生の頃から知ってるけど、あの頃とはかなり変わったかな』
「そんな古い付き合いなんですか?」
『そう。あの頃より、大分丸くなったって言うか、ある意味今の方が、むしろ高校生みたいなキャピキャピさがあるって言うか』
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