愛されオーラに包まれて
俺は鍋にソースと牛乳とジャガイモを投入し、焦げないようにかき混ぜている。

一方、玲奈は、俺が回していた洗濯物を干して、掃除機をかける。

掃除機の音はうるさいけど、それでも貴重な会話の時間。

玲奈から昨夜の話を聞いた。

桐生のこと、高松のこと。

「昨日は何時ごろ帰ってきたの?」
『11時くらいかな』

そろそろシチュー、出来たかな?

火を止める。

「茉莉(マリ)を寝かせようと絵本読んであげてたら、俺も寝ちゃった」
『疲れてたのね。絵本開きっぱなしだったから、片付けておいたよ』

3歳の娘に絵本を読んであげて寝かしつけるのはいつも玲奈の仕事。

「ありがとう」
『それはこっちのセリフ。昨日は全部やってくれて、ありがとう』

玲奈はそう言うと、朝ごはんの支度をしていた俺を、背中から抱き締めた。

そんな可愛いことすると…朝のコミュニケーションの度合いが過ぎちゃうだろ?

俺は壁掛けの時計を見た。

6:20

茉莉を起こすまでもう少し時間があるな。

『健吾に甘えてばっかりだよ、私』

と、さらに抱き付く力が強まる玲奈。

抱き付く両腕をほどいて俺は玲奈側に振り向くと、朝の深いキス。
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