愛されオーラに包まれて
『ねぇ、健吾』
「ん?」

玲奈は正面を向いて座っていた体を俺に向けた。

『桐生くんも、苦しんでるのかな』
「かもな。でもまずは、きっちり本人が正面向いて高松と話さないと」

今日の高松次第だと思うんだ。
高松が普通に接すれば、桐生は大丈夫。

なぜなら、桐生の言動を聞く限り、高松を好きで抱いたことは間違いないのだから。

時計は7時。

「さ、俺達の天使が目覚める時間だ」

俺は玲奈の唇に軽くキスをして、茉莉の寝ている寝室に向かった。

俺が準備した朝食を並べてくれた玲奈。

茉莉と自分たちの食事を済ませ、玲奈は茉莉と自分の歯磨きをして茉莉の髪を結い…そんなバタバタの中、先に俺が出発する。

「行ってきます」
『パパぁ、おしごとがんばってね』
「あぁ、頑張ってくる」

茉莉の頭に手を置いてそう答えた俺は、玲奈に

「今日は朝一で局長会議があるからフロアに戻るのはお昼過ぎかな」

と告げると、

『分かった。行ってらっしゃい』

と満面の笑みで答えてくれる。

平凡な日常だけど、大きな幸せを手に入れていると実感するんだ。
だから俺は、どんなことがあっても頑張れる。

家族のために。
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