愛されオーラに包まれて
「ふぅん。じゃぁ、セックスもイカしてもらえてないんだろうな」
『ちょ、ちょっと桐生さん、何てことを言うんですか!』

高松が俺の発言に驚いて俺よりも大きな声で反論した。

でも…

「大事なことだよ。お前は今までの彼氏にきちんと愛されてなかった。来るもの拒まずの男としか付き合ってなかったから」

そんな男はみんな、女の身体が目的だろ。
そこに愛はない。

『確かに、…そっちの方面に関してはいい思い出がありません』

高松は俯いてそう言った。

「自分だけが舞い上がって押していく恋の仕方ができるのは、中学生までじゃないか?」

すると、高松は持っていたフォークとナイフを置いた。

『桐生さん、私…』
「どうした?」

俺は慌てた。

目の前の高松が、ポロポロ涙を流していたから。

『桐生さんに話したいこと、たくさんあるはずなのに、いざとなると意気地無しな自分がいて、悔しくて…すみません』
「高松、教えてくれ」

俺は、メインディッシュを食べ終えて、フォークとナイフを置いた。

「俺がどうすれば、高松が素直に心の内を話してくれるのか」

すると、涙を流した顔でニッコリ高松は笑った。

『びっくりしないでくださいね』

と、高松は俺に顔を自分に近付けるように手招きした。
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