愛されオーラに包まれて
成瀬川局長は広告局長を見た。

『ついては、これは社長の希望でもあるのだが、この事故についての調査委員会を設置し、社長が委員長となって徹底的に調べさせてもらう。よろしいですね?』

成瀬川局長の言葉に、広告局長は慌てた。

『原因となった本人を吊し上げるってことですか?こちらでアフターフォローはするつもりですから、そこは穏便に…』

『ほぅ。原因は、もう分かっているようなおっしゃり方ですね局長。なら、そのアフターフォローとやらを実施する前、及び後に、調査委員会の席上で報告していただきたいのですが』

広告局長は項垂れた。

『分かりました』

広告局長と広告二部長は立ち上がると、頭を下げて会議室を出た。

『本当なの?調査委員会の設置って』

遠藤部長は局長に食い付く。

『本当ですよ。秘書室から該当の人間には今頃メールが送られてきてますよ。第1回の開催は明日の10時です』
『随分急ね』
『第2回の開催もあることを考えると、次のきらきらの校了まで時間がないことくらい、容易に想像つきますでしょ』

俺は、一連のやりとりに、全く口を挟むことができなかった。

戸惑う俺に局長が

『明日の調査委員会では、お前は日常の営業局におけるチェック体制を説明するだけで終わりだから、心配するな』

と、俺の肩を叩き、遠藤部長とともに会議室を出ていった。
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