死が二人を分かつとも

「うっせー!このお嬢さんは、どー見てもここに不釣り合いでしょうが!あんたらなんかと一緒にしないで下さい!」

ハッとしたのは、啖呵を切るようにコウモリが叫んだから。

奮い立たせる声の主は、私に走れと言う。


「しっかりして下さい!逃げますよ!」

「で、でも、いっぱい、囲まれて……」

「人間諦め肝心って言いましたけど、今はその時じゃないのぐらい分かんでしょ!?諦めたからって、物事みんなおしまいになる訳じゃないです!認(あきら)めたんなら、はい次!回避出来る最悪前に、くすぶらないー!」

地獄に来たことは認めた。
そうして、こんな化け物ばかりの場所であることも受け入れた。

でも、だからといって、あんな風になることまで受け入れていいのか。

あちらこちらにいる化け物に囲まれていたはずなのに、見方が変わった。

恐怖の対象に少したりとも近づきたくないとの怯えが、見えない壁を作っていたんだ。

息を止める。瞼は閉じない。
声を押し殺して、走った。

逃げたい一心で、後先考えずに進むさまは、不格好だけど。

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