死が二人を分かつとも
「そよ香は、俺よりもこいつの方がいいのかと嫉妬していた時もあったり……。格好悪いな」
「弥代くんが一番」
「それ以上言わなくていいよ。一番のままいられるよう、ここでそよ香を押し倒したくないから」
その割には、抱きしめてくる彼。
我慢をさせてしまっている身分では、物申せないけど。
「チケット……」
「え」
「行きたい?」
「……弥代くんが、行きたくないって顔しているから行かない」
「俺のわがまま、聞いてくれるんだ」
「嫉妬させたくないし、逆の立場なら私もーー弥代くんが私じゃなくてアイドルをずっと見ていたらいい気分じゃないから」
でも、チケットもったいないと目端に置く。
彼は、それよりも私を抱き締めることに夢中みたいだけど。
「クラスにチケット欲しい奴いたから、そいつに売る。その金でさ、デートしよう。一年の記念はしたいから、外で」
「他の人には、知られたく……」
「何駅か離れたところでしよう。そこなら、気にしなくてもいいだろう?」
外でのデートは、これが初めてじゃない。一ヶ月に一回あるかないかで、外でのデートに憧れる時がある。付き合っていれば、二人で買い物に行きたくなるのは当然。
初めてじゃないからこそ、過信した。
何度目かのことだから、今回も同じと高をくくった。
楽しくデートして、それで終わり。
最高の思い出を作って、また会える。
そんな、お気楽な夢見ごとを思い描いていたんだ。