スケッチブック
それからオトンが帰ってくるまで。
うちはずっと待ってた。
でも、オトンは戻って来んかった。
時計はもうすぐ7時をさす。
とっくに中学生の帰宅時刻は過ぎてて。
仕方ないから、置き手紙を残して帰宅した。
手紙には、
【夜やから帰ります。なにかあったら家に電話してください。 美穂】
と、公衆電話代の130円を添えた。
秋やから空はもう真っ暗。
そんな真っ暗な夜道を1人で歩く。
いつもなら、帰り道は決まって鼻歌を歌うねんけど、
今日はそんな気分やなかった。
姫路のヤンキーっぽい人らを横目に、
うちは歩き続けた。
楽しいとか、
寂しいとか、
嬉しいとか、
悲しいとか。
不思議とその日は、
何の感情も持たんかった。
歩くこと数分。
誰もおらん家にただいま、言うて
食事のじゅんびをした。