愛を欲しがる優しい獣

今の話を聞かれていた……?どこから?

もしかして。

……すべて?

「ごめん、姉さん。私が呼んだの」

早苗が申し訳なさそうに謝罪する。今は、その謝罪を受け入れる余裕がなかった。

カタカタと手が震える。

……一番聞かれたくなかった人にすべて知られてしまった。

「っ!!」

「佐藤さん!!待って!!」

私は鈴木くんが制止するのも聞かず、そのまま家から飛び出した。

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