愛を欲しがる優しい獣
水族館の中にあるレストランで食事をとって、イルカショーやペンギンの散歩まで見学すると、もうすっかり満喫した気分になった。
閉園時間も迫ってきて、俺達が最後に覗いたのは土産の売店だった。
「お土産買うの?」
「うん、皆に。買って帰らないと、あとで恨まれちゃうから」
確かに、櫂くんや早苗ちゃんならともかく、双子や、ひろむくんは黙って遊びに行ったと、自分達が置いてけぼりにされたと思って、機嫌を損ねるかもしれない。
大家族の長女として、その辺のさじ加減は重々承知しているのだろう。
子供たちの気に入りそうなおもちゃやキャラクターグッズを見繕うと、迷わずレジで会計を済ましていた。