愛を欲しがる優しい獣

水族館の中にあるレストランで食事をとって、イルカショーやペンギンの散歩まで見学すると、もうすっかり満喫した気分になった。

閉園時間も迫ってきて、俺達が最後に覗いたのは土産の売店だった。

「お土産買うの?」

「うん、皆に。買って帰らないと、あとで恨まれちゃうから」

確かに、櫂くんや早苗ちゃんならともかく、双子や、ひろむくんは黙って遊びに行ったと、自分達が置いてけぼりにされたと思って、機嫌を損ねるかもしれない。

大家族の長女として、その辺のさじ加減は重々承知しているのだろう。

子供たちの気に入りそうなおもちゃやキャラクターグッズを見繕うと、迷わずレジで会計を済ましていた。

< 144 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop