愛を欲しがる優しい獣

50話:予期せぬ訪問者


「今日もご飯食べて行くでしょう?」

無事に買い物を終え帰路につく途中、佐藤さんは当たり前のように俺に尋ねた。

「いつもすいません」

毎度毎度申し訳ないなと思いながらも好意に甘える。佐藤さんなしでは飢えて死んでしまうのではないかと思う今日この頃だ。

佐藤家に通う前はどうやって食事をとっていたのか、もう思い出せない。

きっとコンビニや外食で適当に済ませていたのだろう。

……今、同じことをしていたら絶対に佐藤さんに怒られる。

一家の台所を任されているだけあって、佐藤さんの食へのこだわりはめっぽう強い。

「今日のご飯はお鍋よ」

「鍋か……良いね」

少し肌寒くなってきて鍋を囲むにはちょうど良い季節になった。

気まぐれに吹いてくる秋風の冷たさに身震いする。昼間はまだ温かいが、朝と晩は冷えるようになってきた。

鍋というレシピの選択は最適に思えた。

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