愛を欲しがる優しい獣

10話:ゲーム大会


「あっ」

気が付いた時には遅かった。

テレビの画面には俺が操っていたキャラクターが右手を掲げて勝利のポーズをとっている姿が映し出されていた。

陽くんの操っていたキャラクターは血だらけで地面に寝転んでいる。

(また、やってしまったか)

「すーずーき!!少しは手加減しろよ!!」

「ごめん、ごめん」

陽くんは非難轟々で俺に掴みかかった。

ゲームにおける手加減はフェアじゃないとは知りつつ、小学生相手に本気を出すのは大人としてどうか、いやいやここは大人としてリードしないと嘗められるか。

そんなことを考えていたら、ついコントローラーを握る手が滑ったのだ。

「仕方ないな。陽は佐藤家四天王の中でも最弱だから」

樹くんがそう言って陽くんを引っぺがした。

バタバタともがく陽くんの頭を恵ちゃんがはたく。

「見苦しいぞ、陽。負けは負けだ」

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