ストーンメルテッド ~失われた力~
エピローグ
《アムール城》

城の中、心が透き通るように凍りついた空気が流れた。

「処刑……それしかあるまい」

「何を言うのですか。あの女神はこの国、唯一の闇の力を持つ者ですぞ」

「ゼウスが作り上げたしきたりを……忘れたのか?」

「…………ですが、それでは余りにもっ」

………

しかし、家来の言葉を女王はかき消して、言った。

「………………私が…………好きで、そうしようとすると、お前は思っているのか?」

それは、重たく、震えた口調だった。

「申し訳ありませんでした……」

深く、頭を下げる。

「行け……時間はない」

それは、丸で、感情を抜き取られた人のような口調だった。
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