ストーンメルテッド ~失われた力~
罰と災難



また、いつもの夢を見た。



しかし突然、超がつくほど下手くそな高いラッパの音が鳴り響き、彼は目を覚ました。

彼は、突然のことに驚き飛び起きると、喧しくラッパを吹き続ける誰かに注意をしようと扉を開けた。

「うるさいぞ! 人がぐっすりと眠りについているこんな朝早くに、演奏会を開くな」

そう、注意をし終わると彼は我に返って、目の前にいるラッパを吹き続けている緑の帽子をかぶった小柄で大きな鼻が特徴的な、見ているだけでも気が抜けるような顔をした男に目をやった。

すると、男はようやく気が付きラッパを口から放すと言い出した。

「カゲン......と言ったな? 話ワ聞いた。今日一日、罰を担当するケルノ......と申す。でワ、ゔゔん!」

そうして、ケルノは胸元にしまい込んでいた巻物を取り出すとビロっと広げて読み上げ始めた。

「やあ、僕......ワケルノ。宜しくで......す。この度ワ、あな......た様にお会いできて、光栄で......す。僕ケルノワ、森......の神だ。森の神として、森での罰を担当し......てる。罰の内容ワ至って簡単。ただ、僕ケルノの頼み事を聞くことであ......る。......終ワ......り」

「な、何だって言った?」

聞き取りにくい話し方で、何を言ったのかよく分からない。

「だーから、ね。森へいくダよ」

そう言うと、ケルノは巻物を再び胸元にしまい込み、何処かへ向かい歩き始めた。カゲンはケルノのあとを追う。
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