夫婦橋〜鈴RINと響いたその瞬間TOKIに

「そうかそうか…
わざわざじいちゃんの話を
学校で発表してきて
くれたんだねぇ。

確実性はないにしても
自分の母親や
祖父の仲吉じい様から
聞いてきた話は
『夫婦橋』の昔話として
少なからず蓮音ちゃんと
同年代の子ども達の心に
残ったはずだろうね。
蓮音ちゃんに話して
本当によかった、よかった。」


嬉しそうに笑みを浮かべ
茂宗は節くれだった手で
蓮音の頭を
何度も何度も撫でた。

蓮音は嬉しかった。
(おじいちゃんは
おばあちゃん死んでしまって
寂しいよね。
お父さんも仕事で遅いし

お家で話いっぱい出来るの
私だけだもの。
少しはお母さんと仲良しに
なってくれたらいぃなぁ。)

蓮音は何度も茂宗に
頭を撫でられながら
微笑んでいた。

以来『夫婦橋』を通る度、
車や人々が往来する中で
鈴の音が
聞こえてくるのではないかと
耳を澄ましたり立ち止まって
私は川を眺めていた。

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