夫婦橋〜鈴RINと響いたその瞬間TOKIに
祖父は少し霊感があったようで
亡くなった自分の母親が
玄関に立っていたとか
近所の鈴木さんが最期の
挨拶に来たと言い出して…
事実近所の鈴木さんが
亡くなってしまったりなど
多々あった。


「お盆になると
御先祖様が帰ってくるんだよ。
おじいちゃんが亡くなったら
御先祖様達と一緒に
蓮音ちゃんの所に
帰ってくるから
おじいちゃんの大好きな
甘栗用意しておいてね。」

茂宗に背負われながら
夜空に輝く月や星を眺め
蓮音は手を広げて
空を飛んでくる
亡き人々を想い描いた。


だが蓮音の父母も兄も
茂宗の話を妻を亡くし
寂しくなった老人の
独り言のように
軽く受け流していた。

だが蓮音だけは信じた。

茂宗の夜空を眺める
長い睫毛と露を
含んだような瞳が
美しいと思いながら。

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