夫婦橋〜鈴RINと響いたその瞬間TOKIに
*第2章*眩しい笑顔

祖父の話を素直に聞いていた
幼かった私だが
幼稚園教諭を目指す為
幼児教育の大学に進学した。

講義や幼稚園、保育園での実習、
実習発表、ピアノの実技、
試験と慌ただしい日々を
過ごしていた。


外出するには必ず
『夫婦橋』を通る。

そしてどんな時も
必ず祖父が玄関外まで出て
見送ってくれる。


「蓮音ちゃん
気をつけるんだよ。
今日も元気に
いってらっしゃい!」

姿が見えなくなるまで
笑顔で手を振っているから
私は何度も振り返り
手を上げ祖父に応える。
(おじいちゃんカワイイなぁ…)


橋を渡る。
歩道の真横は二車線の車道で
国道へと続いている。

車の往来が殆んど
途絶えることのない
広くて騒々しい『夫婦橋』
19歳になっても
聞こえることのない
鈴の音に耳を澄ましていた。


< 9 / 54 >

この作品をシェア

pagetop