声をくれた君に
次に目を開けたとき、目の前は真っ白だった。
(結局死んじゃったのかな?
白ってことは、天国?)
でも、だんだんと意識がはっきりしてきて気づいた。
(違う、病院だ…病院のベッドの上だ…)
白く見えたのは病室の天井だった。
(死んで…ない…)
ふと左側から規則正しい寝息が聞こえてきた。
ベッドの脇でうつぶせている、くしゃっとしたくなるような髪の毛。
(佐野くんだ…)
私はついにその頭を撫でた。
「うーん…」
(あ、起しちゃった…)
「櫻田…」
掠れた声で私の名前を呼び、寝ぼけた目でこちらを見た。
「ん…櫻田…
…え、櫻田?起きた?!」
彼は立ち上がって病室を飛び出た。
そして医師を連れて戻ってくる。
「目を覚まされましたか?櫻田さん」
私は小さく頷いた。
「あ、彼女は声が出ません」
「そうなんですか?
じゃあ私の話を落ち着いて聞いてくださいね。
櫻田さんはおとといの夜病院に運びこまれて、それから約1日半眠っておられました。
しかし幸い軽い凍傷の他、特に異常はないので、今日一日安静にしていれば明日の朝退院できます」
私は言葉をそのまま理解し、医師に小さく頭を下げた。
「それでは、お大事に」
そう言うと病室から退室し、佐野くんとふたりだけになった。