音色
 アンコールを含めたすべてのプログラムが終わったのは、21時を大幅に回った頃だった。
 利香が幼い頃から親しんだクラシックをジャズ調にアレンジした光の「新作」が中心のライヴ。

 留学前はオリジナルばかりで、既存の音楽をアレンジすることなどなかったのに。
 客席から出口に向かう人々は今日のステージの褒めことばを口々にしていた。

「光の新境地、なのかな」
「オリジナルも好きだけど、アレンジも楽しかったね」
 女性はすべて、好意的な感想。

 半数以上を占めていた男性は、グループで来ているのはごく僅かだったようで、感想はあまり聞こえてこなかったのだが、会場全体に流れる空気に淀んだものはなかった。

 利香は。
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