。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
戒はあたしの姿を目に入れるとぎょっとしたように後ずさり。
「おめぇ何時だと思ってやがる」
あたしは腕組をして戒を睨むと
「8時59分05秒……あ、6秒になった」とのんびり。
ダメだ…戒に怒っても全然堪えねぇし。
諦めて
「夕飯は?おめぇの分とっておいたけど、レンジでチンでよけりゃ食うか?」
さらに聞くと
「わりぃー。俺川上んちでうな重食ってきちまった」
うな重!!しかもリコんちで!!
「えーー!!!せこいっ!!何であたも呼んでくれなかったんだよ!!」
「わりーわりー」
戒はへらへら笑ってあたしの横を通り過ぎようとする。
でも
………
ちょっと待て。
「…おめぇ今リコんちでっつったよな」
あたしは通り過ぎようとする戒の首根っこをぎゅっと掴んでその歩みを止まらせた。
「え……?うん」
戒が恐る恐る振り返る。
「てめっ!彼女の親友の家で何ノコノコうな重食ってんだよ!!
この節操なし!!」
あたしが怒鳴ると
「節操なしぃ?」
戒は顔を歪めた。
そのやりとりを
じー…
マサとタクが茶の間から二人そろって顔をのぞかせこちらの様子を窺っていて
「ちょっと!お前はこっちに来なっ」
あたしは慌てて戒を台所に引っ張って行った。