。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「うっそだろ…!本当に出てきたよ」
と千里は顔を青くしてあわあわ。
あたしも同じ気持ちだったが、ここで千里と二人でわたわたしててもだめだ。
あたしがしっかりしなきゃ!
おばちゃんはあたしたちの視線にも気づかずに、日傘をさして道路を歩いていく。
「千里行くぞ!」
あたしは千里の腕を引っ張った。
「え、おい!ちょっと…!行くってどこへ!」
千里は困惑顔だったけど、
「決まってンだろ!おばちゃんの不倫相手を確かめに行くんだよ」
あたしが千里の手を引いて走り出すと、千里も慌ててあたしの後を追ってきた。
――――
――
おばちゃんはあたしたちの尾行にも気づかず、そして何の迷いもなく道をすいすいと歩いていく。
どうやら‟デート”と言うのは本当らしい。エステサロンで身も心もリフレッシュしたのか??その足取りは軽かった。
おばちゃんは迷いなく大通りに出て人ごみの中―――その姿が見えなくなってあたしたちは焦った。
どこだ―――……?
どこへ行った?
探偵や刑事ってドラマや映画の中だと割と簡単に尾行やってのけるだろ?でも実際後を尾けるのって難しいことだ。
特に東京は人が多い。その場所で、人の波の中―――その姿は簡単に見つけられそうにない。
くっそ
諦めてたまるかよ!
千里の家庭の平和がかかってんだよ!!
思わず歩みを速めて……一歩を踏み出したとき……
ゆらり…
視界が大きく揺らめいて、
次の瞬間ぐるぐると渦を描いた。
街に溢れる色と言う色を全部混ぜて―――…視界がモザイクのようにぐちゃぐちゃになる。
え――――……
「朔羅、待てって――――!」
遠くで千里の声が聞こえる。
走って
走って―――
「待てって
朔羅」
名前を呼ばれてあたしはゆっくり振り返った。
こんなこと―――前にもあった。