。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「「嘘っ!」」
あたしと千里は同時に言葉を発して、あたしたちの元に来たおばちゃんと叔父貴が頭に「?」マークを浮かべたように首をかしげている。
「母さん………デートの相手って…」
千里が恐る恐る聞いて
「バレちゃったかぁ」
おばちゃんはあっけらかん。
息子を前にどーゆう神経してんだよ!
と、これにはあたしもイラっ!!
けれど千里の方が一足早かった。
「あんた!!!人の妻に何手ぇ出してんだよ!!
分かってんのか!俺たちの中をぐちゃぐちゃにして何が楽しいんだよ」
千里があろうことか叔父貴の胸倉を掴んで勢い込んだ。
「ちょっ!ちょっと待った千里!」
あたしが止めるも、千里はあたしの制止を振り切ってさらに叔父貴に詰め寄る。
「待てるか!俺んちの運命掛かってるんだぜ!」
ま、まぁそうだけど。
何かの間違いなんかじゃ……
と、少しだけあたしの方が冷静になった。
人ごみの中だったから、道行く人々が千里の大声にぎょっとしたように歩みを止め振り向く。
「何勘違いして…」
叔父貴はちょっとうんざりしたように千里を睨み下ろし
「うっせぇ!!いくら朔羅の叔父貴だからって何もかも許されると思ってんなら大間違いだ!」
さらに千里は勢い込み
「ちょっと、千里!何言い出すのよ!」
とおばちゃんが千里の肩を掴んで叔父貴から引きはがそうとした。だけれど千里はそれを乱暴に払い、おばちゃんは後ろへよろけた。
「おばちゃん!」
あたしが慌てておばちゃんを支えると、おばちゃんは払われた手を呆然と見つめ、悲しそうに千里の背中を見つめていた。
一方、言われっぱなしの叔父貴は―――
「クソガキがぁ!!
てめぇ、自分の母親に何しやがるっ!!」
千里の怒鳴り声よりも数倍大きな……まるで地鳴りのような怒号を上げて千里の手を捻った。