godlh
「惟、ごめん・・・。」
惟の部屋に戻るとすぐに、僕は深々と頭を下げて謝った。いくら気分が悪くなったとはいえ、勝手にトイレに駆け込むなんて礼儀知らずな事をした自分が嫌になったからだ。
「いいよ。俺だったら、途中でトイレに駆け込んでいるし・・・。」
そう言いながら、惟は机の上に拡がった汁を見ていた。さすがに、そのままにしておくのは気分が悪かったようで、残った新聞紙が上にかけてあった。ただ、それでも大量に生み出された汁はその新聞紙からしみ出していた。
「これ、片づけなきゃな。」
「あぁ。」
ふたりで、気が重くなった。
「でも、これで愛内を守れるんなら安いもんだろ?」
「そ、そうだな。」
そう言ってから、ふたりは無口になった。話しながら、あの臭いを嗅ぎながら、片づけをするのはつらかった。僕らは、息を止め、大急ぎで片づけた。
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